少し怖い質問をします。
今着ている綿100%のTシャツ。
もしそれが「あなたが3年間飲む水」と引き換えに作られていたとしたら、どう感じますか?
実は、Tシャツ1枚を作るために使われる水の量は、約2,700L。
これは、一人の人間が約3年間で飲む水の量と同じだと言われています。
そして、デニム1本になると約7,500L。
なんと、人が約7年間飲む水の量です。
たった1枚の服に、です。
「服を作るのに、そんなに水を使うの?」
私も初めて知ったとき、正直信じられませんでした。
それだけ一般的なコットンの栽培から生地にして染めるまでに大量の水を必要とする。
でも、もっと驚いたのはここからです。
世界では、毎年約20億枚ものTシャツが生産されています。
つまり、私たちが何気なく買っている1枚のTシャツの裏側では、想像を超える量の水が使われているのです。
地球は“水の惑星”なのに、水が足りない?
地球の70%は水で覆われています。
だから、「水なんてなくならない」と思ってしまいますよね。
でもそのほとんどは海。
実際に私たちが使える淡水は、地球上の水のわずか2.5%しかありません。
しかも、そのほとんどは氷や地下水。
人や動物が利用できる水は、本当にごくわずかなのです。
そのわずかな水で、約70億人の人の暮らしと多くの野生生物の命と営みを支えています。
その貴重な水を、服を作るために大量に使ってしまっているのです。
コットンはインドや中央アジアなど、もともと水資源が乏しく、水が貴重な国や地域で盛んに栽培されています。
こうした地域で、過剰な水の利用が行なわれると、川や湖沼の水位が下がり、地域の野生生物や人の暮らしが、大きな被害を受けることになります。
人がつくるさまざまな農産物の中で、こうした「水リスク」の高いエリアで作られる割合が最も高いのが、実はコットンなのです。
「水リスク」のある地域で栽培される農産物。綿花栽培の57%が水リスクの高いエリアで栽培されている。
引用:Analysis of global crop production overlaid on Aqueduct baseline water stress. Data from Gassert et al. 2013, Monfreda et al. 2008, Ramankutty et al. 2008, Siebert et al. 2013. See WRI.org/Aqueduct
©WWF
そして、野生動物にも深刻な影響が。

©François Xavier Pelletier WWF
インド亜大陸を流れるインダス川に生息するインダスカワイルカ。
コットンなどの農業による過度な取水や農薬により、生息域の水位低下や汚染が生じ、
現在は約2,000頭まで減少。深刻な絶滅の危機に追いやられている。
出典: IUCN Red List (IUCN, 2022)
コットンが奪ってしまった湖がある。

かつて世界で4番目に大きかった湖、アラル海。
魚が豊富で、人々の暮らしを支える大きな湖でした。
しかし、綿花栽培のために大量の水が使われた結果、湖はほとんど消滅してしまいました。
今そこには、砂漠の上に取り残された船が並んでいます。
「船の墓場」と呼ばれる場所です。
アラル海の悲劇は20世紀最大の環境破壊とも言われている。
1枚の服が、遠い国の自然や人の暮らしとつながっている。
そう考えると、服選びの見方が少し変わりませんか?
参照:オーガニックコットンは、肌に優しい? よくある勘違いとは | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
オーガニックコットンという選択。
オーガニックコットンは、一般的なコットンに比べて、必要な水の量を約91%削減できると言われています。
Tシャツ1枚あたり、
一般的なコットン:2,700L
オーガニックコットン:約243L
その差は、なんと2,457L。
さらに、農薬による水質汚染も98%以上抑えられると言われています。
私たちがオーガニックコットンを選ぶ理由。
それは、「肌に優しいから」ではありません。
遠くの生産者さんが安心して働けること。
子どもたちが学校へ行けること。
動物や自然が守られること。
そして、未来の子どもたちに水を残せること。
たった1枚の服で世界は変わらないかもしれません。
でも、その1枚を選ぶ人が増えれば、未来は少しずつ変わっていく。
私たちは、そんな小さな希望を信じて、オーガニックコットンを選んでいます。
一般的なコットンの問題点のおさらい。
・インドだけで児童労働が35万人以上いる。
・農薬の大量使用により、健康被害、土壌汚染、水質汚染を招いている。
農薬による死者が年間2万人を超えている。
・畑周辺の動物にも影響があり、絶滅した動物もいると言われている。
綿農家さん、子供たち、そして地球環境が苦しんでいると言えます。
私たちが使用するオーガニックコットンとは?
- 3年以上、化学農薬や殺虫剤、除草剤、落葉剤などの有害な化学合成薬剤を使っていない土壌で栽培期間も使わない。
- 遺伝子組換ではない種子であること。
- 児童労働や強制労働などの人道的・倫理的な搾取をしないこと
- 公正な取引(フェアトレード)
私たちは、第三者認証機関である「GOTS認証」のオーガニックコットンのみを使用してます。
環境課題や社会課題を解決する上で、最上級のゴールデンスタンダードであるGOTS認証のマーク ©GOTS
一般的なコットンよりコストや手間のかかるオーガニックコットンは、コットン全体の生産高のわずか1%未満と言われています。
「オーガニックコットンの製品は比較的値段が高い」と思われがちですが、「値段」には必ず理由があります。
農薬や化学肥料に頼った大量生産による安価な商品を求めるのか、
地球環境や、生産者さんへ配慮された商品を選ぶか。
私たちは「誰も傷つけない」、「誰からも搾取しない」と決めています。
生産に携わってくださる会社に生産量が増えようとも値引き交渉はしません。
そうすることで、私たちが作ったパジャマに想いが宿り、
お客様に伝わると信じています。
株式会社POPERさんのPODCAST「教える現場を訪ねる」に出演させていただきました。
その時に、赤裸々に私たちの想いを話しておりますのでよかったら聞いてみてください。
教える現場を訪ねる