Over the Counter ~中村暁野さんとコーヒー片手にエシカルトーク~ 3/3

文筆家で<家族と一年商店>の店主である中村 暁野さんとGOOD NIGHT SUIT SHOPでエシカルトークをいたしました。
前回は染色、縫製、ボタンについてもさまざまな問題があることをお伝えいたしました。
=================================================
回収より、愛すること
咲(以降S) : そんなこと言いつつ、GNSも全然完璧じゃないんですよ。着無くなってしまったパジャマをどうするか、ということについて何もできていなくて。着無くなったGNSのパジャマを回収して糸にするのか、生地に戻すのか、何かしらの活用方法を考えてやっていきたいなと思っていて。 
暁野(以下A): どの業界であっても、これから、作ったその先を考える、というのは課題かもしれないね。最近は自社の衣料を回収するファストファッションも多いけれど、あの回収箱に入れれば安心、というか、罪晴らし、みたいな気持ちになるのもあるよね。
智有(以降T): 今の技術では、コットンとポリエステルが混じった服というのはリサイクル出来ないんです。ということは、そういった回収箱に回収されたほとんどのファストファッションの服はアフリカなどに送られていて。その中にはもう着れないひどい状態のものも沢山あって、そういうものはゴミとして川に捨てられたりしているんですよね。
S: 目を瞑りたくなる光景だよね。

※”砂漠にできたファッションの墓場” ファッション衣料とサステイナビリティより写真引用
T: 大量に作って、大量に捨てる。38億着作って、16億着新品のまま捨てる、というのが現実なんです。日本人は一人当たり、平均で1年間に18着買うと言われているんですが、その数字は変わってないのに、生産される服の枚数はどんどん増加していて。ということは、消費者の選択肢を増やすために作られる無駄な服が本当に沢山あるんだと思います。
A: 回収箱以外の服のその後の行き先を考えることも大事だけど、まずは大切にして長く着るということが大事かもしれないね。 GNSの服は、結構みんな勇気出して買うと思う。パジャマは普段着ではないから、そんなに汚れたりしないし、GNSの品質があれば10年ぐらいは着れちゃうんじやないかな?
S: 実際、10年ぐらい着られたパジャマのお直しを受けることがあったんですが、色々と擦り切れたりしているけれど、まだお直しはできたんですよ。
A: 10年、20年着て、もうくたびれてダメになったら、土に還るパジャマでもいいのかも。糸までコットン100%だから、コンポストできるね。実際私も、物を選ぶ際にはいつか形がなくなるものを買おうと思っていて。
S: 分解される、っていうことですね。
A: そうそう、自然のものはいずれは自然に還るよね。 まずは「想い」を大切に。

※GNS SHOPで使っているお手拭き。過去に作ったBUMPY STRIPE ORGANIC COTTON PAJAMASの残布です。
A: このお店も1年前にオープンして、対面でGNSの大きなメッセージを伝えていくことができるようになったね。
S: そうですね。声高々に、私達からメッセージを伝えるというよりは、軽やかにやってるよ!というのを見てほしいし、そこからオーガニックやエシカルというものに意識を持ってもらえたら嬉しいですね。お店だったら、オーガニックコットンの商品以外にも、お出しするお手拭きをパジャマの残り生地を使ったもので作ったり、カフェで出た有機ゴミは必ずコンポストしたり。そういう端々から、少しでもメッセージを感じてもらえるといいなと。
A : GNSは、お客さんにも本当に心地よいよね。どんな人も迎えてくれる温かさがいつもあって。お客さまへの発送の際のお手紙や、オンラインでのお返事とかも、ちゃんと心がこもってる。 その温かい「思い」を受け取ったときに、初めて人って心が動くよね、その先に。このGNSの二人と心で繋がることで、この二人が大事にしていることに思いを馳せてみようって思える。素敵な二人がやっていることに興味を持ってみよう、って思えるんだよね。
S : 心の優しい部分に届け~って思いながら・・・確かにいつも愛を込めてます。パジャマの製作に、店舗作りに関わってくれたすべての人の想いを、私が代表として手渡す気持ちで。
GOOD NIGHT SUITが目指すオーガニックとは
T: オーガニックコットンのブランドは他にも色々ありますが、オーガニックコットンを使って、どういう流れで、どういうふうに形にしていくか、というところに誠実に向き合って、みんなが幸せになれる選択をする。それが私たちGNSの目指すオーガニックコットンパジャマブランドですね。
S : そして何より、着てくれた人にそれを感じてほしいです。
T : 今までって、うちのパジャマを着ることで睡眠の質が良くなって、次の日お仕事頑張れるよね!ということを感じてもらいたいと思っていました。それが最近、お客様の声を聞いていると、すこし変わってきていて。このパジャマがあることで、夜寝るのが楽しみで日中頑張れる、と思って下さる方たちが増えてきて。GNSのパジャマに幸せを感じてもらえていること、それを着て過ごす自分のための時間を大切にされていること、それが何より嬉しいですね。
A: 生産方法が日本一エシカルなパジャマは、着るひとも日本一幸せなパジャマだね。

中村 暁野 さん
エシカルショップ『家族と一年商店』店主・文筆家
夫、娘、息子と共に、2017年より藤野に暮らしながら、家族や暮らしをテーマに執筆活動を行う。2021年、5年間自身と家族のことを毎日綴った日記をもとに書籍『家族カレンダー』(アノニマ・スタジオ)を上梓。また、家族みんなで相談しながら、むりなく楽しく続けられるエシカルな暮らしを実践中。
ウェブサイト:
https://www.kazoku-store.com/
http://kazoku-magazine.com/
インスタグラム:
@non19841120
@kazoku_shouten

